by chance? or by design?

by chance? or by design? は通説1の、突然変異が新たな種を作り出す原動力となるかの、2回目。

米国,アジア,ヨーロッパの科学者たちは,豊富な資金に支えられた研究プログラムを開始し,進化を促進すると見込まれる様々な手法を用いました。
そして,40年以上にわたって徹底的な研究が行なわれました。
結果はどうだったでしょうか。
「莫大な資金がつぎ込まれたが,[突然変異誘発のための]放射線照射によって生産性の高い品種を育てる試みは全くの失敗に終わった」と,研究者のペーター・フォン・ゼングブッシュは述べています。レーニヒもこう語っています。
「1980年代には,世界中の科学者の間の希望や高揚感はしぼんでいた。
西洋諸国において,独立した研究分野としての突然変異育種は放棄された。
ほとんどすべての突然変異体が……死んでしまったり,野生種より弱かったりしたのである」。

約100年間の突然変異研究全般,とりわけ70年間の突然変異育種から得られたデータに基づき,突然変異によって新種が生まれるかどうかに関して結論を出すことができます。
レーニヒは証拠を検討し,こう結論づけました。
「突然変異によって,[植物あるいは動物の]原種が全く新たな種に変わることはあり得ない。この結論は,20世紀に行なわれた突然変異研究の実績および結果の総体,および確率の法則と合致している」。

一つの種が突然変異によって全く新しい種類の生物に進化することはあるのでしょうか。
証拠からすれば,ありません。
レーニヒは研究の結果,「遺伝学的に適切に規定された種には確かに境界があり,偶発的な変異がその境界を取り除くことも乗り越えることもあり得ない」と述べました。

こうした事実は何を意味していますか?
高度な訓練を受けた科学者たちが,望ましい変異を人為的に誘発・選択しても新種を生み出せないのに,
知性の伴わない過程によって新種が生まれることなどあるでしょうか。
原種が突然変異によって全くの新種に変わることはないのに,大進化などあり得るでしょうか。

来週は通説2 自然選択は新たな種を生み出す。

豊田