Designed?

人の時を想う?シリーズは先週で全6回を終了。
でもなかなか 自宅のキッチンDIYプロジェクトに戻る時間がありません。
それで、今週から新たなシリーズ、 「Designed?」
いつだったか、製薬会社が「自然は大きなホスピタル」というキャッチコピーをつかっていました。
たしかに自然界は、システムそのものが大きな病院になっていますし、製薬会社にとって自然は薬の材料の調達源であり、また教科書です。
自然界を教科書にしているのは、製薬会社だけではもちろんなく、建築の世界でも自然界は教科書です。
私も仕事をしていて、自然界に学ぶものが本当に多くあります。
たとえば、難しい色使いで迷ったら、自然界にある色の組み合わせを観察します。
色を使う仕事をしている人は、その組み合わせ、素材や光との組み合わせが、いかに難しいか実感しているはずです。
空、山、海、多種多様な動物や昆虫、植物の色と素材と光の組み合わせ。
自然界では実に見事にそれを成し遂げています。
しかも息をのむほどの感動を与えます。




バイオミメティックス( biomimetics 生物模倣工学)という分野の工学が非常に面白い。
人間が苦労を重ね積み上げてきた科学技術の多くはすでに自然界に存在していて、しかも人間のそれよりもはるかに効率よく、しかもエコフレンドリーに行っています。
最近ニュースになったのは、クモの糸を人工的に作り出すことに成功したということでした。
以前から、その技術はありましたが、非常に有毒な薬液を使うために人工的に大量に作ることは不可能を言われていたので、夢の素材と言われていました。
技術者たちがクモの糸にそれほどの魅力を感じていた理由は、それが非常に軽く粘りがあり鋼鉄より強いという点です。
クモの糸でサッカーゴールの網のようなものを作ることができれば、飛んでくる旅客機を受け止めることができるといわれています。
クモのように低い温度で、有害な薬液を使わずに糸を作りだすことが、技術者の長年の夢でした。




私たちの仕事で関係があるもので言えば、たとえば技術者たちは、カタツムリの殻が、いつもきれいで汚れていないのに着目。
技術者たちはカタツムリの殻の成分で素材を試作してみましたが失敗。 
その秘密は顕微鏡レベルの殻表面の凹凸にありました。
その技術は家の外装材や、キッチンのシンクなどの表面材料組成技術に応用されています。 
その他、氷のように冷たい水の上で休んでいる水鳥の足は羽毛で覆われていないにも関わらず、水鳥が凍えてしまわないのはなぜか?
その秘密は、熱力学の研究者を驚かせる、熱交換システムが、水鳥の足を通る血管にありました。
技術者は、それをより高効率の空調、給湯システム等に応用できるのではないかと思っています。



このように「自然は大きなホスピタル」であり、「遊び場」であり、「教室」でもあります。
来週からのシリーズで、「教室」である自然界に注目したいと思います。
MT